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不純異性交際(下) ―それぞれの未来―

第4章 土曜日の夜


ワインを一気飲みしても酔えない様子のアンナは、久しぶりの元カレとの再会に緊張していた。


3人いっしょに店を出る事にして、瀬川くんは店員に代行の手配を頼んだ。


先にアンナの元カレから到着の電話が入り、会計のためレジへ行くと「もう支払い済み」だと言う。


「え?!どういう事?」

驚くアンナを横目に私はハッとした。

「瀬川くんだ…」


彼はすでに店を出るところだった。



トイレに行った時ついでに払った、と言う瀬川くんに私は「また~~!たまには払わせてよお」とぐずった。



アンナも「本当にいいの?!でも悪いよぉ、私、勝手に乗り込んできたのに…」と申し訳無さそうにしている。




「じゃあ、引越し祝いと…元カレとの再会祝いってことで(笑)」


事も無げに言う瀬川くんに、私たちは自然と笑みがこぼれ、素直にお礼を言った。




見覚えのある黒いSUVの横で、一度だけ会ったことのあるアンナの元カレが立ってこちらを見ている。


「アンナ、ちゃんと話しておいでね。また連絡してよ」


「…うん!行ってくる!!」

そう言うと、一歩一歩踏みしめるようにして彼のもとへ向かっていった。




元カレは私と瀬川くんのほうへお辞儀をすると、車に乗り込んだ。


「礼儀正しいな」


「ね。…うまくいくといいな…」



黒いSUVが発車し、駐車場を出ていくと入れ替わりに代行がやってきた。


私たちも車に乗り込み、コンビニに寄ってから瀬川くんの実家へ向かった。





1ヶ月ほど前に訪れた彼の部屋は、その時とは少し違っていた。



「俺も心機一転、じゃないけど…片付けしたんだ。少しはマシだろ?」



瀬川くんはそう言いながら2人掛けの座椅子に座り、隣をポンポンと叩いて私を呼んだ。


以前は1人用の座椅子だった。



「これ、変えたんだ?」



「お前が来ること増えるかなって期待してね(笑)」



私は彼の隣に座ると、べったりともたれかかった。



「隣の席…」



「ん?」



「瀬川くんと、隣の席だったあの頃から…今もやっぱり、しっくりくる(笑)嬉しい…」



私たちは正面を向き合って、ぎゅっと強く抱きしめ合った。


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