不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第7章 初めてのキス
私は思わず抱きついて、驚きの声を上げた。
「なんで?!ビックリしたぁ!わぁ、驚いた」
部屋に入り、私はさっそくキンパを食べる準備をした。
「実は、たくさん作りすぎちゃったの。嬉しいなぁ…まさか来てくれるなんて」
「実は昨日から、来るって決めてた(笑)」
私たちはワイワイとキンパを頬張った。
「まだソファとかもなくて、くつろげないよね」
「いや、だいぶくつろいでるけど(笑)ガスは大丈夫だった?」
「うん、もう今日からコンロもお風呂も使える~!あ、そうだ瀬川くん、お風呂入っていく?」
「マジ?助かる」
私は急いでお湯を張りに行き、戻ってくると瀬川くんが”おいで”と言うように両手を少し広げている。
私は嬉しくなって彼の膝に飛び込むと、微笑み合ってキスをした。
「あのさ、今日は言いたいことがあって来たんだけど」
胸がドキリと鳴り、それが期待なのか恐怖なのか分からなかった。
「…なあに…?」
「今日からお前は、独身なわけだよな」
「うん、そうだね」
「この歳になってこんな事にこだわるのもおかしいけど……俺とちゃんと付き合わない?」
「えっ…」
「俺らの関係って今までは…堂々と言えるものじゃなかったけど。これからはちゃんと…彼氏?としてお前のこと守りたいし、自信持ってお前といたい」
少し恥ずかしそうに話を進める瀬川くんと、同じ思いを抱いていたことに嬉しさが湧き上がる。
「私も…同じこと考えてたの。私たちの関係って、なんなのかなって」
そっと見上げると瀬川くんは優しいまなざしで私を見つめていて、私は自ら口づけをした。
「…俺は、お前の気持ちが落ち着くまで全然待てるよ」
「私は、…ずっと前から瀬川くんのことが好きだから…」
「良いの?」
「うん…」
何だか照れくさくてうつむくと、彼は私の髪を撫でながら
「じゃあ、今のは付き合って初めてのキスってことで良い?」
と笑った。
”付き合う”という言葉の新鮮さと恥ずかしさに私たちはじゃれ合い、もう一度、今度は瀬川くんから優しいキスをした。