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不純異性交際(下) ―それぞれの未来―

第7章 初めてのキス


「…大事にするから」


「私も…」


一瞬の沈黙を、お風呂のジャージャーという音が破る。



「あっ!お風呂ためてたんだった!」


私たちは少し窮屈な湯船に2人で浸かり、お互いを泡で洗い合った。



お風呂上がりに冷たいレモネードを2人で飲み、瀬川くんは私の髪にドライヤーを当てる。


「よし」と言うと自分の髪にも当てるが、数十秒で終わってしまった。



「まだ湿ってるよぉ」


「いいの、男は適当で(笑)」


「ふふっ、ありがとう」



「…本当はお前と寝たいけど、そろそろ帰らないと」


瀬川くんはそう言いながら洋服を着る。



「寝るって、どっちの意味?」


私が冗談を言うと彼は私の頬をつまみ、「んー、それは言えませんね」と笑った。




心なしか、いつもより寂しさが減り、にこやかに瀬川くんを送り出す。



「ここでいいから。じゃあ、また連絡する」


玄関で私に優しくキスすると、彼は微笑んで去っていった。



いわば”恋人同士”になった今、私はどこか浮かれていた。



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また普段どおりの平日がやってきて、その日私は紗奈といっちゃんとランチに来ていた。



個室の座敷に案内されると紗奈は座布団の上にいっちゃんを寝かせ、メニューに目をやった。



「どう?一人暮らしは」


「うん、なかなか楽しんでる。お料理とか」


「ミライらしい(笑)」



和定食のランチを注文し、紗奈が出産を終えて退院した日以来のおしゃべりを楽しんだ。




「一人暮らしかぁ…」


「?なんで?なにかあった?」


「いや、姉ちゃんがさ。もうずっと付き合ってる彼氏いるって言ったじゃん?」


「あぁ、うん。薬剤師の人ね」


「そうそう。まぁ姉ちゃんももう40だし、子供は望んで無さそうだけど…結婚とか、したいのかなってね」


「そうなの?!」


紗奈のお姉さんは、サバサバしているところが紗奈にそっくりで、看護婦の仕事をしている。



「分かんないけどね。婚歴ないし、恋人がいるならやっぱり一度くらい結婚したいものなんじゃない?」


「うーん、そうかもね」


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