不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第2章 離別
車が走り出し、アパートの灯りが遠くなっていく。
あぁ、本当に別れるんだな…。
「ミライ、大丈夫?」
「うん…なんか、変な感じ。月曜日に離婚届だしに行って、共同の銀行口座も解約するんだ」
「そっか…フミさんはどうだった?」
「なーんも。ほんとに、なーんにも、分からなかった…。離婚届は書いてくれたけど、気持ちとかは全然。ただ、離婚したいとは思ってなかったみたい。これが普通の夫婦って思ってたって…」
「普通?!日常の会話無いのが?」
「私も同じこと言った(笑)でも言われて気づいたんだよね、フミってもともとそんなに喋るタイプじゃなかったな~って」
「そうかもしれないけど…でもなぁ…うぅ~ん」
「なんでアンナが唸るのよ(笑)もうね、終わる話だから…言いたかったことも9割はそのまま持ち帰り。もうこのまま終わらせるよ。もう、いいんだ…」
「ミライ~…」
「でもさ、離婚の直接の原因ではないにしても私…瀬川くんと関係持ってるし…。その点では私って有罪だよね」
「有罪だね、それは!!」
2人で笑い合い、数日後に離婚届けを提出するとは思えないような雰囲気で私は過ごしていた。
「そういえばアンナ、電話で”彼氏なし”って言ってたけど…年下くんとは本当に終わっちゃったの?」
「んん…たま~に連絡来るの。でも付き合ってはない。付き合ったら私も疲れちゃうから、もういいんだ」
「ほんとに?」
「う、うん…」
「彼はアンナのことまだ好きって?」
「やり直したいって言ってる。…でもね、前にも言ったけど彼って若いしモテるし、もうそういうので疲れるの嫌なんだよね」
「じゃあモテないおっさんと付き合いたいってこと?」
「もう、ミライ~~(笑)変なこと言わないでよぉ」
私たちはまた笑った。
「今日、どうする?飲みに行っちゃう?それともうちで飲む?」
どこかに出かける気分でもなかったので、コンビニでお酒を買い込みアンナのアパートでゆっくり飲むことにした。
「カンパーイ!…じゃないか、こういうときなんて言うんだ?」
「いいよ、普通に乾杯しよう(笑)」
私たちは缶ビールを開け、おつまみを沢山ひろげた。
だいぶ気持ちが落ち着き、瀬川くんに今日はアンナの家に泊まるとメッセージを打った。