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風に吹かれて2

第44章 スパイラル

だもんで、毎回歯切れ悪く「あ~……まぁ、そう、です、ね……うん、そう、か、な……」みたいに返事をしつつ、そこはかとなく会話に乗り気でない空気を出して来たのですが。

決して酷いことをされているわけではないので邪険にするのも憚られまして。
普段お喋りする相手も居ないみたいだし、内容がどうとかでなく単に誰かと話したいのかな、と思うとかわいそうな気もするし。

気づくと目の前にフッといらっしゃるので、瞬間移動みたい、と毎回思うんですけどねぇ。
迫られてるわけです。



「あっリフ行ったことあります?どうですか?」

って目が合った途端に早口で言われまして。
毎回前置きが無いんだよね(笑)。

「……え?」

「リフ分かりますよね?」

地名は知ってます。
あとWSSの役名も知ってます。

「あそこで宮城のコンサートやったじゃないですか行ってないんですか?」

「ああ、コンサート……当たらなければ行けないね……」

「あっ行ってないんですね今度あそこに●●(←後輩G)のライブで行くんですけど昼と夜との間をどうしようかと思って~周り何もないじゃないですか時間どうやって潰そうかなって?妹は横アリにしたらって言うんですけどあっちだと周りいろいろあるじゃないですか迷ってるんですよ何でかって母を連れてるんです母がなんか朝ドラで嵌ったらしくてもうイイ年なんですけど行きたいって言うから連れて行くんですよ一人では行かせられないじゃないですか休む場所が無いとマズイと思ってどう思います?」

どう、って。
これは不思議ちゃんと言われてるのも納得だな、と思いますよ、正直。

早口なんだよなぁ。
そして勢いが凄い。

「ごめんね、横アリ行ったことないからわからない」

「えっそうなんですね何でですか?だってやってませんでしたっけ?」

「えっと……当たらなければ行けないよね」

ホントはその頃は茶の間ファンだったから応募してないんですけどね(;^ω^)
実際知らないし。

「あそうなんですかスイマセン確かにそちらはファンの数も物凄いですもんねデモこっちも結構来てるんですよ今事務所で2番目ぐらいですから」

それは違うだろう関8に失礼ですよ?

「ところでグループの中で誰を推してるんでしたっけ?」

「あ、うん……推しは居るけど……」

「は?教えたくないんですか?」

「う……う、ん……」←

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