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性に溺れる私

第7章 【交錯していく欲望】






「送れないけど大丈夫?タクシー呼んだから」




半月以上会ってない娘に病院で会った瞬間これかよ。
検査結果とか担当医から聞いて把握してるんだろう。




それより寝てないのよ…みたいな顔でこっち見ないでよ。
完璧で居ろよなんて思わないけど、少しくらい心配する素振りでも見せたら?
私、あんたから生まれたんだよね?




無造作に渡してくるお金を受け取らず到着したタクシーに乗り込んだ。
「何かあったらメールしなさいよ」って背中に声を掛けてくるけど何かあってからじゃ遅いという思考には至らないのかな。




閉まった側の窓を開けたら顔を上げた母親は、風で乱れる髪を手で押さえながら真っすぐこっちを見てる。




「私が妊娠したらどうする?」




顔色ひとつ変えないんだね、やっぱ。




「そんな相手居るの?ピル飲んでるでしょ?でもまだ未成年なんだから避妊はしなさい」




「はーい」




意味のない笑顔で窓を閉めて発車してもらう。
チラチラと運転手さんも私を見てるけど気にせず窓の外を眺めていた。




優秀な麻酔科医さん。
でも知ってるよ?院内は不倫の巣窟なんでしょ?
お互い目を瞑って好き勝手やって感謝される仕事してんだもんね。




その血を受け継いだ娘は学校の教師の性奴隷してます…なんて知ったらどう思うかな。
彼氏以外にもセックスする相手が居て性に溺れてるとか、どんだけ血は争えないんだよ。




現に顔も見せに来なかったクソ外科医が。
もう顔も忘れそうだよ。




家に着くと大樹からメールが届いた。
休み時間に送ってくれたんだろう。




(今日の授業分取ってるから届けに行ってもいい?字は汚いかもだから許してね)




(ていうか会いたい)




(顔見たいよ)




(玲奈の笑顔見たい)




(体調悪いのに何言ってんだろうな、ごめん)





連続で届いて笑ってしまった。
(いいよ)と送って住所を教えた。
耀平だけの特権は終了しましたとさ。
部屋に入るなりベットに倒れ込む。
確実に熱は上がってきている。




ただひたすら引くのを待って朦朧とした時間を過ごすのだ。
熱い………火照ってきて疼く。
キャミワンピース型のランジェリーだけになり突っ伏せたまま意識を手放した。











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