テキストサイズ

居候と実況者が恋に落ちるまで。

第3章 聞こえてこないけど、聴いている


紗夜side


一色さんのお宅でお世話になり始めて早4日目。
お試し期間の折り返しも過ぎ、色々なことに慣れてきたところ。

大掃除が終わってしまえば、あとは普段の掃除・洗濯・買い物・食事の準備と大変なことや難しいことは何もなくなって。

ただ穏やかな日々があるだけになった。

そう、たまに一色さんの笑い声が聞こえるくらい。

・・・なんて思っていたら、

「どうも、初めまして!君が紗夜ちゃん?」

一色さんの仕事関係の方がいらっしゃいました…。私なんかが対応していいんですか?!

「コウタ、一々絡むな。…高月さんも無視して」

「は、はいっ」

「なんで?!折角話に聞いてた紗夜ちゃんに会えるっていうから今日の実況楽しみにしてたのに!…あ!オレ赤城光太郎(アカギコウタロウ)、よろしくね」

「たか、高月紗夜です…よろしくおn…!」

バタバタとちゃんと挨拶も出来ないまま、赤城さんは一色さんに引き摺られていつもの部屋に消えていってしまった。

急に静かになった廊下。

あの2人、仕事だけのお付き合いじゃないみたいだな。一色さんがあんな風に強く言ったり軽くあしらったりするってことは。

「友達、なのかな…」

・・・思い込みとか早とちりとか多いんだから。
考えるのをやめよう。そうだ、リビングでゆっくり今夜の献立でも決めようかな。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ