テキストサイズ

病院の風景

第6章 回復

手術は無事終わった…。

どのくらい時間が経っただろうか?

石川が目覚めると、病室が暗く、暗い部屋のベッドの横には妻がいた。

「どう?大丈夫?」

と言う妻に、石川は、

「うん!」

と答えた。石川は、顔には酸素マスクが被さっているのと喉にタンがたまっていることで声が出しにくく、会話がうまくできない。

妻は、

「手術は成功だって!予定通り、2週間で退院できるらしいわよ!良かったね!」

と言って、石川の手を握ったあと、

「ごめん、瞬をお母さんに預けているから、引き取りに行かないと…。今はコロナ禍だから、退院まで面会には来られないけど、何かあったら電話して!」

と言った。瞬とは、石川のまだ1歳にならない子供だ。石川は、

「うん!ありがとう!」

と言うのが精一杯だった。

そして妻は、

「それじゃー、お大事にね!」

と言うと、病室を出て行った。

すると廊下で妻と看護師らしい女性の話し声がしたあと、入れ替わりに看護師が現れ、

「どうですか?お加減は…。いろんな線が沢山繋がっていて動きにくいと思いますが、明日中くらいにはほとんど取れると思いますから我慢してくださいね!あと、両脚にはエコノミークラス症候群を防ぐためにマッサージ機を着けていますので、重いと思います。申し訳ありませんが少しの間我慢してくださいね!」
 
と言った。石川は、息が苦しくて、頷くだけだった。

看護師は、

「喉にタンが溜まるようでしたら吐き出してもらって構いません。あと何かありましたら、遠慮なく言ってくださいね。ここにコール置いておきますから…。」

と笑顔で言った。

石川は、また頷き、看護師は頭を下げると病室を出て行った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ