ドSな兄と暮らしています
第4章 見つかったもの
「今日は、2ヶ月に1回のセルフデンタルクリニックデーですよ。お忘れなく」
ん?2ヶ月に1回……???
「え、待ってこの間、見てもらったよね?!?! 前まで3ヶ月に1回だったよね?!?! なんで増えてるの!!」
「それは汐夏が歯磨き下手くそだからだ。この前捕まえてみたけど、あれは頂けないなぁということで、急遽セルフデンタルクリニックを開くことにしました」
と、兄ちゃんはそれまたぴしゃりと直球で言う。
「うーー、だけど歯医者とか苦手なの〜〜」
だって口開けたまま動けないの怖いじゃん〜!兄ちゃんが見るって言ってもやっぱり恥ずかしいじゃん〜〜!
半泣きになる私を見て、
「大丈夫だ。痛いようにはしないしきれいに磨くだけ。はい、そこへ座るよ」
とリビングの絨毯の上に座らせて、後ろから私の首にエプロンをかけた。
「はい、背中倒します」
と、強制的に膝枕をさせられてしまった。
兄ちゃんはゴム手袋をぱちぱちとはめる。
顔を覗き込まれて、恥ずかしさに赤面していくけれど、今日は俯くことはできない。
「しお、口開けて」
と言われる。私は言われるがままに口を開けた。
「よし、いい子だ」
もう恥ずかしくて死にそうだよーう!!
兄ちゃんは、口を閉じようとする私に言う。
「ほら、ちゃんと開けて。やりにくいし終わんないでしょう」
兄ちゃんは、私の口の中にミラーを入れると、1本ずつ丁寧に歯を見ていく。
「うーん、もう少し奥歯は丁寧に磨けるようになろうな」
「んぁぁぁ……」
奥歯を磨かれる時、ちょっと苦しくて涙が出そうだった。
私は兄ちゃんの歯磨きが終わるまでぎゅっと目を閉じたまま、なされるがままだった。
結果的に、1本だけ虫歯が見つかった。
兄ちゃんが、歯医者の予約をすると言い出したので、
「歯医者は嫌だ!! 行かない!だっていまは歯痛くないもん」
と抵抗してみたが、
「心配するな、これくらいの虫歯なら、痛い治療しなくても治るやつだよ。放置して酷くなってから痛い治療する方がいいの?」
と言われて押し黙る。
結局、兄ちゃんが務めているデンタルクリニックに予約をとることになった。