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ドSな兄と暮らしています

第4章 見つかったもの

兄ちゃんは、マグカップを手元に置いて、しっかりと私の目を見た。私もマグカップをテーブルに置いたまま、ギュッと握った。

「汐夏が、兄ちゃんに言ってくれたように。俺も汐夏のことが好きだ」

私は驚いて、ゆっくりと目を見開く。
でも、どういう意味でだろう??

「昨日真希さんから、色んなことを聞けたと思う。俺は、汐夏のことを大切に思っている。大切に思っているからこそ、絶対に汐夏を傷つけたくない」

兄ちゃんは、一言一言噛み締めるように、ゆっくりと言葉を続けた。

「だから、この気持ちがなんなのか、考えないようにしてた。妹として家族として大切なんだって疑いなく思っていた」

私は、マグカップを持つ手に力を入れたまま、声を出さずに頷く。

「……汐夏が良ければ、もう1つ上の段階で、お互いを大切にしていきたい。俺の勝手かもしれない、恋人って言うには汐夏をまだとっておきたいんだけれど……」

兄ちゃんは、そっと私の手を包み込む。
そして、ふっと微笑んだ。やっぱり目元が真希さんに似ている。

「どんな形であれ、汐夏をこれからもずっと、大切にさせてほしい」

何故か、悲しくもないのに、首を縦におおきく振ると、大粒の涙が頬を伝った。兄ちゃんに心配させたくなくて、笑った。

それでもなんか伝わらない気がして、私は兄ちゃんのそばに行くと、兄ちゃんに横からギュッと抱きついた。
兄ちゃんの肩に顔を押し付ける。

「もー!こら!人の服で涙を拭うのやめなさい」

言いつつ、私の頭を優しく撫でる。久しぶりに頭を触られる。大きなあったかい手だった。


私たち家族の形は、ここで少し変わったけれど、前より心地良いものになっていった。

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