
ドSな兄と暮らしています
第6章 汐夏の挑戦
4
完全に油断していた。
兄ちゃんは寝る前になって、私を呼び止めた。
「汐夏、ちょっと」
なんの危機感もなく、「ん?」と返事をする。
「布団に正座」
と端的に言われて、ようやくはっとする。
これは非常にまずい。だいたい正座させられる時って、なんかある。
そうして頭の中の記憶を駆け巡って、ようやく、間に合わなかった問題と、『お仕置』の存在を思い出した。
思い出した時にはもう遅い。
逃げることも隠れることもできないから、言われた通りにゆっくりと正座した。
「汐夏、いますっかり忘れてたな?」
と言われてドキッとする。
目の前に腕組み、仁王立ちの兄ちゃん。
顔は既に、鬼。
ここで嘘をつこうという度胸は、私にはない。
「わ、忘れてました……」
「正座させられるにあたって、思い当たることは?」
俯いておっかなびっくり答える。
「あの……数学の問題、今日は、ちゃんと終わらせないまま……兄ちゃんに教わる時間になったこと……です」
あぁ、なんで今まで忘れていたのかとすら思う。
こうなる心の準備ができたのに。
完全に油断していた。
兄ちゃんは寝る前になって、私を呼び止めた。
「汐夏、ちょっと」
なんの危機感もなく、「ん?」と返事をする。
「布団に正座」
と端的に言われて、ようやくはっとする。
これは非常にまずい。だいたい正座させられる時って、なんかある。
そうして頭の中の記憶を駆け巡って、ようやく、間に合わなかった問題と、『お仕置』の存在を思い出した。
思い出した時にはもう遅い。
逃げることも隠れることもできないから、言われた通りにゆっくりと正座した。
「汐夏、いますっかり忘れてたな?」
と言われてドキッとする。
目の前に腕組み、仁王立ちの兄ちゃん。
顔は既に、鬼。
ここで嘘をつこうという度胸は、私にはない。
「わ、忘れてました……」
「正座させられるにあたって、思い当たることは?」
俯いておっかなびっくり答える。
「あの……数学の問題、今日は、ちゃんと終わらせないまま……兄ちゃんに教わる時間になったこと……です」
あぁ、なんで今まで忘れていたのかとすら思う。
こうなる心の準備ができたのに。
