ママ、愛してる
第7章 エピローグ
「コウ、ちょっとあなたに相談があるんだけどねえ」
僕が明日の仕込みをしていると、息子の由紀夫ーを抱いた母が、恐る恐る声を掛けて来た。
「今ちょっと、仕込みが忙しいんだけど、由香じゃダメ?」
客席の掃除をしている由香にぼくは目配せする。
「ママ、あたしで良ければ」
由香が返事をした。
「そうだね。由香にも聞いて貰おう」
ママは客席に座って、由紀夫をあやしながら言った。
僕は手を止めて、母の前に座る。僕の横に由香が腰をおろして尋ねた。
「ママ、大事なお話?
あら?ママ、それって?」
母の左手を見て、由香が言う。
薬指には、大きなダイヤの付いた指輪が光っている。
「ママ、おめでとう!」
由香が言う。
僕は訳がわからず、首をかしげた。
「幸介、相変わらず鈍感ね」
由香が母と顔を見合わせて笑った。
「あのね、コウ。私、結婚することにしたの」
「えええっ!だ、誰と」
僕が声を上げると、由香が『あきれた』というような表情で言った。
「磯田さんよ。ホラ、毎日モーニング食べにくるでしょ?」
「ああっ!あのロマンスグレーの?でも、ずいぶん年上じゃないの?」
「そんなことないよ。まだ、52歳。私と9歳しか違わないよ」
「そうなんだ。でも、全然知らなかった」
「だろうね。コウは、由香と結婚してから、私の事なんて全然見てくれないからね」
母が頬を膨らませる。
「ママ、ごめんね。あたしが魅力的すぎて!きゃは」
由香が軽口を叩き、三人で大笑いをした。
僕が明日の仕込みをしていると、息子の由紀夫ーを抱いた母が、恐る恐る声を掛けて来た。
「今ちょっと、仕込みが忙しいんだけど、由香じゃダメ?」
客席の掃除をしている由香にぼくは目配せする。
「ママ、あたしで良ければ」
由香が返事をした。
「そうだね。由香にも聞いて貰おう」
ママは客席に座って、由紀夫をあやしながら言った。
僕は手を止めて、母の前に座る。僕の横に由香が腰をおろして尋ねた。
「ママ、大事なお話?
あら?ママ、それって?」
母の左手を見て、由香が言う。
薬指には、大きなダイヤの付いた指輪が光っている。
「ママ、おめでとう!」
由香が言う。
僕は訳がわからず、首をかしげた。
「幸介、相変わらず鈍感ね」
由香が母と顔を見合わせて笑った。
「あのね、コウ。私、結婚することにしたの」
「えええっ!だ、誰と」
僕が声を上げると、由香が『あきれた』というような表情で言った。
「磯田さんよ。ホラ、毎日モーニング食べにくるでしょ?」
「ああっ!あのロマンスグレーの?でも、ずいぶん年上じゃないの?」
「そんなことないよ。まだ、52歳。私と9歳しか違わないよ」
「そうなんだ。でも、全然知らなかった」
「だろうね。コウは、由香と結婚してから、私の事なんて全然見てくれないからね」
母が頬を膨らませる。
「ママ、ごめんね。あたしが魅力的すぎて!きゃは」
由香が軽口を叩き、三人で大笑いをした。