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変態ですけど、何か?

第13章 玲子先生 ~留学~

高校1年の時に、玲子先生との関係が出来てから、
幸い誰にも知られることはなく、卒業間近まで、それは続いた。

3年生の冬休み、あたしは玲子先生から、別れの話を切り出された。

いつものように、玲子先生の部屋で愛し合ったあと、
あたしは話を聞かされた。

「里帆、実はね。私、留学しようと思うのよ」

「えっ?」

あたしにとっては、考えても見なかった話だ。

あまりの唐突な話に、あたしは言葉を失った。

留学って、どこへ?

どのくらい行ってるの?

あたしがいるのに、どうして?

あたしの頭の中に、いろいろな疑問がわいてくる。

柔らかな胸にもたれているあたしの髪を撫でながら、玲子先生は話す。

「里帆にも話したことがあるけど、私、もともとピアニストになりたかったのね。
それで、教師になってからも、先生に師事して、ピアノは続けてたのよ。
本当はね、卒業したらすぐに留学したかったけど、
音大に通うだけでも親に大変な思いをさせたのに、それ以上に、負担を掛けられなかったの。
で、教師になって、コツコツと留学費用を貯めてたのね。
里帆も知ってる通り、この3年間に、何回かリサイタルやったでしょ?」

あたしは頷いた。

「凄く良かった!あたし、何回も泣いたもの」

「ありがとう。それでね、今年のリサイタルの時に、私の師事していた先生の恩師で、世界的なピアニストが聴きに来てくれていて、
玲子をドイツに連れていきたいって言ってくれたの」

「玲子、凄い!」

あたしは感嘆の声を上げた。

「先生から話を聞いて、私は、経済的な理由を話したのよ。
そしたら、正式に弟子になるなら、生活の心配はしなくていいって」

あたしはそこまで話を聞いて、玲子先生に言った。

「あたし、賛成だよ!玲子は、世界で勝負するべきだよ」

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