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変態ですけど、何か?

第13章 玲子先生 ~留学~

「ソレデハ、ゴユックリ」

ゲオルグは、あたしたちにそう言うと、カートを押してタクシー乗り場に歩いて行った。

「良かったの?玲子」

あたしは、玲子先生に訊ねた。

「もちろん。今日の夜、ホテルで落ち合うことになってるの。
それまでは、里帆とゆっくり過ごせばいいって、彼も言ってくれてるわ」

「そうなんだ。じゃあ、これからどうする?」

「まずは、日本食が食べたいな。ドイツの食事って、あんまり口に合わなくて」


あたしたちは、空港ビルにある蕎麦の店に入った。

天ぷら蕎麦を注文して、玲子先生が話を始める。

「里帆、こんなことになって、本当にごめんね」

「いいの。あたしも玲子に言わなきゃならないことがあるの」

「彼氏でも出来た?」

「彼氏じゃないけど、好きな人が出来た」

あたしは玲子先生と別れてからの4年間のことを、話した。

そして、靖子の事も。

玲子先生も、コンクール以降のドイツでのの生活や、ゲオルグとのなれ初めも話してくれる。

玲子先生は、コンクールのあと、ピアノ教師として、ドイツで過ごしていた。

それなりに収入も得られたことと、ドイツでの暮らしが肌に合っていたことで、永住を考えるようになった。

そんな時には、ピアノの生徒として入ってきたのが、ゲオルグだった。
ゲオルグは、ピアノ工場の職人だった。
純粋に、ピアノが上手くなりたくて、玲子先生の評判を聞いてピアノ教室にやってきたらしい。

演奏家ではないので、腕前はそれほどでもなかったが、ピアノに対する愛情は若い生徒たちには劣らず、趣味ながらも懸命に音楽に取り組んでいた。

ある日、レッスンにやってきたゲオルグは、ピアノを引き始めて首をかしげた。

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