テキストサイズ

変態ですけど、何か?

第13章 玲子先生 ~留学~

国際線の到着ロビーで、あたしは玲子先生を待っていた。

掲示板には、フランクフルトからの飛行機は午前10時の定刻に到着予定と表示されている。

どんな結論をあたしが出しても、それを受け入れると、靖子は言ってくれていた。

でも、あたしの結論は、もう決まっていた。



定刻通りに飛行機は到着し、手続きを終えた玲子先生がゲートから現れた。

4年振りの、玲子先生との再会。

あたしは、駆け出していた。

「玲子!」

「里帆!」
あたしの声に気付いて、玲子先生も駆け出してくる。

空港の雑踏の中で、あたしたちはしっかりと抱き合った。

「逢いたかったよ、里帆!」

「あたしも!」

あたしの目から、涙が溢れてくる。

「里帆は、少しも変わらないわね」

玲子先生は、あたしに微笑みかけながら、言った。

「玲子は、少し痩せた?」

あたしは言った。

見た目では、同じに見えたが、ハグした感覚で、以前より少し華奢になったのがわかった。

「やっぱり、里帆。わかったんだね?
でも、体調は悪くはないから、安心して」

「うん!」

あたしは、何か話そうとするが、言葉が出てこない。

ただ、涙が止まらない。


そこに、カートにスーツケースを満載した、背の高い男性が微笑みながら近づいて来た。

玲子先生は、ドイツ語で彼に何か話すと、
男性があたしを見つめながら、片言の日本語で言った。

「ハジメマシテ、リホ。
ワタシハ、ゲオルグデス。ヨロシクネ」

「里帆です。はじめまして」
彼が差し出した右手を握りながら、あたしは言った。

彼は、微笑みを浮かべたまま、玲子先生の耳元で何かを話す。

玲子先生の頬が、少し緩んで、ゲオルグを軽く叩く仕草をした。

ステキなカップル。

あたしは一抹の寂しさを覚える。

玲子先生が、彼との会話を通訳してくれる。

「彼がね、里帆はとってもかわいい!さすが、玲子が愛した女性だって」


「えっ?」

「彼には、全部話してるの。里帆との関係も・・・」

玲子先生は、少しはにかんで言った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ