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変態ですけど、何か?

第15章 パパのこと ~2~

あたしを助手席に乗せて、美佐子は車を発進させた。

あたしが無言でいると、美佐子から話し始める。

「里帆さんに、どうしても聞きたい事があって・・・」

「靖子のこと?」

「ううん。お父さんのこと・・・」

あたしは、何となく質問の内容を察している。

多分、靖子の事など、美佐子にとってはどうでもいいはずだ。
と、すれば、パパの事かママの事以外には考えられない。

「ストレートに聞くけど・・・」
美佐子は言った。

「里帆さんと、お父さん。関係があるの?」

ホントにストレートな質問。

あたしは、心の中で葛藤する。

「どうして、そんな質問を?
パパとは、実の父娘ですよ」

あたしは、はぐらかした。

「そうよね。そんなこと、あるはずないよね?」

「もちろんです」

あたしは答えた。

「ありがとう。
私ね、里帆さん。忠明さんのこと、心から愛してるの。彼の為なら、命だって差し出すわ。
だから、真実が知りたかったの」

美佐子の言葉には、今まで誰からも感じたことのない迫力があった。

「ありがとうございます。父の事を、そんなに・・・」

あたしは頭をさげた。

美佐子は続ける。

「あなたも子供じゃないから、ハッキリ言うわね。
忠明さんが私を抱いたとき・・・、彼が最後の瞬間に、あなたの名前を呼んだの。
『里帆!逝くよ!』ってね。
私、その時ハッとした。
でもね、ズルい女だから、気付かない振りをしてた・・・。
その時、一度きりで、それ以降はないけれど、
でも、彼の心の中から、他の女を追い出したくて、部屋のインテリアは全て交換したの」

美佐子から、
最初に会ったときに感じた『お母さん』のような表情が消え、ひとりの『女』の顔になっている。

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