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変態ですけど、何か?

第9章 診療過誤 ~秋野玲子とのこと~

あたしは、ソファーで少し眠った。

パパはずっと、あたしの手を握っていてくれたみたい。

「あのね、パパ」
あたしは話し始めた。

「あたし、秋野玲子さんと、お付き合いしてたの」

「そう、なのか。知らなかったよ」

パパはいったが、あたしの事を否定はしない。

ママだったら、きっと話せてない。

あたしはパパと暮らしててよかったと思う。


あたしは、秋野美容外科が提訴されるという速報からの顛末を、話した。

パパは黙って聞いていた。

「パパ、あたし、玲子にお花を手向けて上げたい」

「そうだね、きっと喜んでくれるよ。パパも出きる限りは協力するから」


パパはそれから、有給を取ってあたしに付き合ってくれた。

どんな方法なのかはわからなかったが、
翌日には玲子が身を投げた場所がわかったと言う。

「宮崎県の○○らしいよ」

「あたし、行ってもいいよね」

「ああ、パパも一緒に行こう」

あたしたちはその日の飛行機で、宮崎に向かった。

宮崎空港についたのは、完全に日が暮れてからだった。

「もう暗くなってるから、明日にしよう。
現場の断崖は真っ暗らしいから」

パパはそう言ったが、あたしは首を振った。

「ごめんね。でもあたし、今行きたいの。
ニュースでは、真夜中に飛び降りたって言ってたでしょう?
玲子がどんなに寂しい思いで崖の上に立って、どんな思いで飛び降りたのか、少しでもわかってあげたいの」

「わかったよ。じゃあ今から行こう」

あたしたちは、タクシーで現場に向かう事にする。

「もう何も見えませんよ。
それにあそこは、この前飛び降り自殺があったところでね」

迷惑そうに言う運転手に、パパは何枚かの札を握らせた。

「頼むよ。君に迷惑掛けたりしないから。
娘があの人のファンで、どうしても花を手向けたいんだよ」

「仕方がないなあ」

運転手は渋々車を発車させた。

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