テキストサイズ

変態ですけど、何か?

第9章 診療過誤 ~秋野玲子とのこと~

パパに抱き締められて、あたしは少し正気を取り戻す。

パパは、あたしを抱き締めたまま、言う。

「里帆、今がムリなら黙っていてもいい。
だけど、自分を傷つける事だけはやめてくれ」

あたしはパパの腕の中で頷いた。

そして、パパに抱かれたまま、ずっと泣いていた。

そして、
「玲子、玲子、玲子」

と、玲子の名前を呼び続けた。

そうすれば玲子が戻ってくるとでも、思っていたのかも知れない。



外が明るくなる頃、あたしはパパの腕の中でうとうとした。

パパの電話を掛ける声で、あたしは目を覚ます。

「はい、娘の調子が悪くて・・・。はい、すみません」

あたしが目を覚ましたのに気付いて、パパが言った。

「今日は休みを取ったから」

「うん、ありがとう」

あたしは素直に言った。

ありがたかった。

もし一人になったら、自分が何をしてしまうかが恐ろしかった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ