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誓いのガーランド

第24章 ひかりの輪 2

そんな気持ちを汲んだように、花実は口を開く。

「楓……わたしの手、握ってくれないかな」

泣きながら楓に訴える。

触ってほしい、触れてほしい、触れて。
怖がらないで。
わたしはいま、楓に触れてほしくて仕方ないんだ。

花実の思いがこぼれるその直前に、楓は、頬に置いてあった花実の手に、そっと手を伸ばした。
花実に触れた瞬間に、自分の手が酷く震えて、冷たいことに気づいた。

「楓、ほっぺたの方があったかい……」

そう笑う彼女の体はもう、震えてはいなかった。
楓は、花実の手の温かさに、静かに安心していた。
長い長い、トンネルを抜けた時のような感覚。
きっと、最後の最後で、2人で手を繋いで抜けた。

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