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一時を悠久の時へ

第19章 生い立ち

父親の古い姓は水護龍之使(みもりのつか)

これは代々水を守る家系

その由来もあったから

華炎もここに何かしらの力で

導かれたのかもしれぬ…

家はいつの頃からか

水守と名乗るようになったが

今でも地主として良い暮らしをしておる

母親の旧姓は安染(あそめ)名はかをる

母親の血筋は名のある家などでは無く

暮らしも良くなかった為に

間引きされたり幼いうちから

働きに出されたりした

その働き口には遊郭もあった

貧しいが器量は良かったので高く売れたが

勝ち気で怠惰のため花魁や太夫には程遠い

だが太客を見定める目がある女であった

学は無いが生き残るための知恵に長けて

どんな苦境でも思うがままに逞しく

それなりに愉しく過ごしていけたようだ

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