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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第5章 入院

「……本当は、この付近の養護施設で暮らすっていう話し合いを、お前……咲が入院している間に、大人たちでしてたんだが……この辺の施設は満員で、どこも受け入れができなかったんだ」

澤北先生の後に、井田先生が引き継ぐように口を開く。わたしが噛み砕けるように、ゆっくり言葉を選びながら話してくれた。

「ここより遠くの施設に行くと、転校を余儀なくされる。学校側としても、学年でトップの成績を持つ咲さんに、このまま在学してほしかった。だから、学校近くに住む大人の中で、僕と優が君の保護者になることを申し出たんだ。勝手に話を進めてしまって、ごめんね」

「だっ、……大丈夫です……!」

先生たちが大丈夫かどうかわからないけれど……。
まだ実感がわかなくて、困惑してはいたが、正直、ほっとしていた。施設に入るとしたら、それはそれで戸惑っていただろう。

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