優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第7章 隠しきれないもの
1
2年2組の中でいちばん恐れられている言葉がある。それは、井田先生の
「生活記録ノートの呼び出し」
というセリフだった。
朝のホームルームでこの言葉が続くと、空気が一瞬で引き締まる。今日は誰の名前が呼ばれてしまうのか、みんなロシアンルーレットでもするかのように、びくびくしながらその時間が過ぎるのを待っていた。
「うーんと、今日は……白河さん」
井田先生ののんびりした口調に似つかないその緊張感がいつもクラスに訪れる。
クラスのみんながいっせいにわたしの方を見る。
クラス全員の安堵のため息とともに、わたしは今、めちゃくちゃ憐れまれている……。
2年2組の中でいちばん恐れられている言葉がある。それは、井田先生の
「生活記録ノートの呼び出し」
というセリフだった。
朝のホームルームでこの言葉が続くと、空気が一瞬で引き締まる。今日は誰の名前が呼ばれてしまうのか、みんなロシアンルーレットでもするかのように、びくびくしながらその時間が過ぎるのを待っていた。
「うーんと、今日は……白河さん」
井田先生ののんびりした口調に似つかないその緊張感がいつもクラスに訪れる。
クラスのみんながいっせいにわたしの方を見る。
クラス全員の安堵のため息とともに、わたしは今、めちゃくちゃ憐れまれている……。