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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第8章 本当の話をしよう

「……咲、春斗のこと、完全に母親だと思ってるな」

「いいよ、それならそれで。母に性別関係なし。咲が幸せなら。あの子が結婚するまで務めきる」

「ずいぶん先の話だな」

突然出てきた『結婚』というワードに面を食らう。少なからず、なんとなく嫌だと思っている自分を自覚して、ばつが悪い。

「バージンロードは3人で歩くよ。どんな輩に咲を受け渡すことになるか、わからないからね」

「輩って……」

俺が吹き出すと、春斗も笑った。
春斗も同じような気持ちでいたことに、ほっとする。
背中に眠る咲の体温を感じながら、始まったばかりの日々の終わりを考えて、少しだけ寂しくなっていた。

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