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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第9章 アメとムチと無知

段々と、触られているリズムに合わせて、息ができていく。

「上手上手、もうひと頑張りね。気持ちいいね」

そう言われて、腰が浮きそうになるこの感覚が、『気持ちいい』という表現になることを再認識する。

早く、早く楽になりたい……。

触られている手や、固定されている体を自由にさせたくて、懸命に感覚を研ぎ澄ませた。
今まで自分が受けてきた刺激が、つらくても快楽の一種なんだと、理解しかけている。

短く、はあはあと呼吸を繰り返していと、その時はきた。

「んっ、あっ、だめ……!!!」

頭が真っ白になって、意識が保てなくなる。
腰が持ち上がるようにビクビクと動いた。
無意識に、全身がぶるっと震えて、震えは脳にまで伝わるようだった。

あ、……気持ちいい……のかな……?
今、わたしの体……

無意識にそう思って、しかしそれもまた一瞬のことで。
気づいたら、そのままわたしは眠りに落ちていた。

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