優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第2章 担任、井田春斗のクラス
1
4月。正門の桜は満開から少し過ぎ、既に緑の葉が少しずつ顔を出していた。
中等部2年生になって、初めての登校日。
わたしは学校に来られることに誰よりも安心していたと思う。
思えば、酷い春休みだった。思い返したくもないくらいに。
クラスのみんなはそれなりに楽しいこともあったんだと思うけれど、わたしにとっては休みなど無い方がいい。
家の中より、外の方があったかいし、なにより学校の方が安全だ。
入学してから、1度もクリーニングに出せていない制服に身を包み、せめて、伸びきってしまった髪の毛を綺麗に束ね直す。
今日は、クラス替えして新しいクラスの最初の日だ。気合い入れて行かなくては。
「よし、笑って笑って」
わたしは呪文のように呟くと、ひとつ、笑顔をつくって昇降口へと歩いて行った。
4月。正門の桜は満開から少し過ぎ、既に緑の葉が少しずつ顔を出していた。
中等部2年生になって、初めての登校日。
わたしは学校に来られることに誰よりも安心していたと思う。
思えば、酷い春休みだった。思い返したくもないくらいに。
クラスのみんなはそれなりに楽しいこともあったんだと思うけれど、わたしにとっては休みなど無い方がいい。
家の中より、外の方があったかいし、なにより学校の方が安全だ。
入学してから、1度もクリーニングに出せていない制服に身を包み、せめて、伸びきってしまった髪の毛を綺麗に束ね直す。
今日は、クラス替えして新しいクラスの最初の日だ。気合い入れて行かなくては。
「よし、笑って笑って」
わたしは呪文のように呟くと、ひとつ、笑顔をつくって昇降口へと歩いて行った。