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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第5章 入院

「目、覚めたな」

声が出なくて頷く。

「ここは病院だ」

彼は、そう言いながら、わたしの右手を握った。その温かくて大きい手が、なんとなく懐かしかった。

「これ、握れるか?」

起きたばかりで手に上手く力が入らなかったが、かろうじて微かに手を動かす。
少し手を動かすと、体がちゃんと自分のものになったみたいに、全身に感覚が戻ってきた。
お腹の辺りが少し痛い。

「い……たい」

思ったより声量が出なかったが、息を吐き出すようにして声が出た。

「腹か?」

そう訊かれて、頷いた。

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