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スタマイ BL (R18)

第1章 夏目春×渡部悟

「夏目くん…夏目くん」

俺の事を呼ぶ声がする…。

「渡部さん?」と俺は眠たい目を擦り名前を呼ぶ声が聞こえる方を見る。

帰ってきたばかりなのかまだスーツ姿の渡部さん。

「夏目くん、起きた?」

「うん、少し眠たいけど」

「そっか…なんか嫌なことあった?」

「どうして?」

「それ…」と渡部さんは俺の手に握られている風邪薬のゴミを指さした。

「……」

俺は黙り込む…。

あのまま風邪薬を飲んだ後すぐに眠ってしまったんだ。

俺、何やってんだ

忙しい渡部さんに心配かけて何をしたいんだ。

「夏目くん?」と優しく声をかけてくる。

俺は、どう答えて良いかわからず黙り込んでしまう。

しばらく沈黙が続いた。

「夏目」と渡部さんが低い声で言う。

「渡部さん…」

怒ってる…普段あまり怒らない渡部さんが…

「説明して」

「い…1回だけだから」

何とか言い訳をしようとする…。

「ほんとに?」と渡部さんがまた低い声で言う。

「う…うん」

「それじゃあこれは?」と渡部さんは大量の飲み終わった風邪薬が入った袋をベットの上に放り投げた。

「え…」

ちゃんと隠してたつもりなのに…。

なんで…

俺の戸惑う顔をみて、渡部さんは「夏目、俺お前と一緒に長い間住んでるだぞ」言った。

「そうだよね…。渡部さんは、何でもお見通しだね」

「で、どうしたんだ?夏目くん」

さっきとは違い優しい口調で聞いてくる。

「なんでもない」

渡部さんが原因なんて言いたくない。

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