
戦場のマリオネット
第6章 乙女は騎士の剣を掲げて
「その点、コスモシザは有利ですな。僭越ながら、私どもは昨日もリディ様達を誘導させていただきました。ただ、チェコラスに奪われた兵士の中にも詳しい者がいます」
「配置されるなら、元コスモシザ兵の可能性が高い……か。一撃目が来るまでは、馬を全速で走らせよう。狙撃があれば相手の動きは見えるはずだ。当たりなら、加勢させる。チェコラスに入ったら、どのみちリディには彼らを煽動させる算段だ。戻ってくる見込みがないと判断したら、応戦する」
「では、リディ様は森からお入りになるので良ろしいですね」
「砦を通るよりはマシだろう。入国の時点でこちらの軍勢を相手に知られない方が良い。森に入るのは最低人数にしたい。残った者は砦に回って、あえて半数で先に突破してくれ。あとの半数はチェコラス軍が引いたところで、城に直行して欲しい」
「三手に分かれるということですか。やつらが多勢で仕掛けてきたら……」
「腕の立つ隊員は、城の方に先回りしていると思う。リディが決起することを危惧していた人間も、少し前からいたからな。チェコラスは、手強い兵士が軍の全体の約三割ほどしかいない。数で固めてきたとしても対処出来るはずだが、前線の部隊とは別に兵士を配置していることがある。イリナを捕獲した時なども、そうだった。先に入国する者は、死角に目を向けるように」
それから私は、コスモスシザに入ったあとの城への経路を指示して、予想出来る限りでのチェコラスの戦略をいくつか提示した。
リディを連れて森に入るのは、私を含めて六人。
とにかく彼女を城に行き着かせることを第一の目的として、私達は三手に分かれた。
