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貴方はもう用済み

第1章 崩壊する関係

『ねぇ。明日ウチ来るよね。誕生日だし、一緒にい居られるよね?』

自分の前を歩きながら、後ろ・・・自分の方へと振り返って聞いてくる彼女。

『大丈夫。ほら智子。前見なきゃ危ねぇぞ』

『ふふっ♪だいじよーぶっ♪明日楽しみだなぁ』

そんなに誕生日に一緒に居られるのが嬉しいんだろうか。

いつも以上に浮かれる彼女

付き合いはじめて一年。自分の一つ下の大学4年生

去年、自分が大学を卒業する時に告白され付き合い初めた。

ミスキャンパスに選ばれるほどに美しく可愛いらしい彼女。

天真爛漫と言う言葉がここまで似合う女性も珍しいと思う。

自分にはもったいない。特に取り柄もない冴えない自分がなぜ?

周りはきっとそう思っているだろう。

自分も最初は冗談とか罰ゲームの類だと思っていた

自分に自身なんて全然ないから、彼女の様な人が自分を好きになるはずがない

そう思っていた

最初は疑心暗鬼だった自分も彼女の優しさに次第に心から惹かれる様になり今では彼女と結婚したい

それほどまでに彼女を愛していた

先日、大学を無事卒業した彼女。

自分の入社したTV局に彼女も入社する。

誰にでも明るく優しい彼女だ。人気キャスターになるのも時間の問題だと思う

そんな彼女の誕生日

明日、プロポーズをするつもりだった。

『悠君。じゃ明日。楽しみに待ってるからね』

『あぁ。また明日』

駅で別れを告げ二人別の電車に乗る。

家に帰宅し、明日プロポーズをする事に少し緊張もしている。

気負う必要もないと思うけど、肝心な時に緊張するくせは小さな頃から変わらない。

仕事で疲れもあるので今日は早めに寝よう。

明日疲れた顔して彼女の所に行くわけにもいかないからな。



翌日〜


彼女の家に到着する。

玄関のチャイムを鳴らすとすぐに彼女が来た

普段着でもお洒落に気を使っている彼女だ

部屋の中でも、あまりラフな格好はしていない

白いブラウスに黄色のフレアスカート

部屋の中はいつも通り、彼女の好きなお香が焚かれていて、ほのかに香る甘い匂いが心地よい

『ふふ♪いらっしゃい♪入って入って♪』

彼女に誘われるまま部屋にお邪魔する。

これから始まる悪夢など知る由もなかった。

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