🕯️悪夢の神様🕯️
第24章 誘惑
逃げ――――…られなかったんだ…
と、胸に重りを抱えるような感情が沸き上がった。
「大丈夫か?顔色悪いけど…」
「あっ、ごめんなさい……仕事中に」
おばあちゃんのお店で開店準備をしている手が止まっていたらしい。
今日は、皇輝さんもバイトに入ってくれる日で手の止まった私を心配して声をかけてくれた。
「大丈夫――――あれ?もう…花の方は終わったんですか?」
「ああ――――…やっぱり、岳さんの選ぶ花のチョイスはいいっすね!俺のぶっ飛んだ生け花に映える花を持ってきてくれるんでうれしいっす!」
時々バイトとして入る日は、皇輝さんが入り口の花を生けている。
ホテルの華道家さんを断り、基本は岳さんが生けるが、皇輝さんがバイトの時は皇輝さんが生けている。