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まこな★マギカ

第14章 第九ノ一章


――ところが、その一歩が踏み出せなかった――いや、それどころか、まるで金縛りにでも遭っているみたいに頭の先から足のつま先まで身体の全てが一切動かなかったのだ。「……こな……めろ」なんとか声は出せるみたいだった――ただしそれは正常な時のものとは言えない。「……どるっ……る……だろ」

けれども、その時、ふいにカナメが「まこなちゃん、俺と遊ぼうぜい」と言った瞬間、いきなり身体が動き始めた。俺はすぐさま振り向いた。見ると、カナメがまこなの両肩を押さえてなだめているところだった。 

「ちょっと、カナメさん――」まこなはカナメに抵抗しているけれど、肩を抑えられたままじたばたしているだけだった。「その手を離してくださらない」尚も必死で抵抗を続ける、まこな。

「まぁまぁ、落ち着いてよ、まこなちゃん。ゆうきさんは、すぐに戻ってくるから――あ、そうだ、俺とドラ顔じゃんけんでもしよーよ。そんで負けた方がロマネを一気する――名付けてドラ顔じゃんけんして負けたらロマネを一気するゲーム……」

もちろん、なぜまこなのあの力が突然解けたのかは分からない――でもこの機会を逃してはならない、それははっきりとわかったのだ。

「まこな、あとでちゃんと戻るから――ちょっとだけ待っててくれよ」まこなに向かって言ってから「カナメあとは任せた」カナメにそう言うと、俺はくるりと向きを変えて、まるで競歩のような速さで20番テーブルに向かって歩いたのだった。

時計を見ると6時をとうに超えていた。ラストソングまで残すところ三十分を切っていた。
















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