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まこな★マギカ

第14章 第九ノ一章


「抱くかよ! 俺は性欲モンスターかよ!」俺は言い返す。「つーかだいたいおまえから見たら俺はそんなにマクラマクラしてんのかよ?」

「えっ、それは……」と言ってカナメは言葉を詰まらせる。「いや、そんな事より、早く20番に戻った方が良いっすよ、ゆーきさん」

「こら、露骨に話題を変えてんじゃねぇ!」

「――え、いや、そうじゃないっすよ」あたかも図星を突かれたと言う顔をするカナメ。「――て言うか、さやかちゃんって今日初めてじゃないっすか。だからただ単に俺は心配になっただけっすよ」

「うっ……まあ、確かに。それもそうだな」カナメの言うことも一理ある、そう思って俺は20番に戻ることにした。「なら、ちょっとさやかんとこ行ってくるから、まこなの事頼んでも良いか?」

「ええ、任せてくださいよ。まこなちゃんって……タイプなんで――て言うかどストライクなんで」と言ってカナメは頬を紅く染める。「しかも、初恋の相手にどことなく似てて……」

「なんなんだよ、その邪ま(よこしま)な理由のオンパレードは! 私情以外になんにも見当たらねぇじゃねーか!」俺はカナメに言ってから、おしぼりを渡した。「――まあ、とにかく頼んだぜ、カナメ」

それから通路に出て20番テーブルに向かって歩き出そうとした時に「ちょっと、どこ行くつもりなのよ?」後ろからまこなの声が聞こえた。

俺はすぐさま振り返りこたえた。「いや、ちょっと他の席も回らねぇといけないんだ」

「そんな事させないわよ」とまこなが言う。「どうせあの女の所にでも行こうとしてるんでしょ」

まこなの態度に圧倒されて「いや、別の席だから……」思わず俺は嘘をつき、おまけに「仕事中だしよ――ずっと、おまえのところに居るわけにもいかないんだ――な、まこな。わかってくれよ」とまるで、色恋営業をかけている客に向かって言うようなセリフを言っていた。

「いいえ、無理よ」まこなはさらにきっぱりとこたえた。「そんな事させないわ」

「いや、そんな事言われたって……」俺はどうして良いかわからずに、なかば強引にまこなに言った。「――なら、わかった。すぐ戻るからちょっと待っててくれよ。わりいな、まこな」そして踵を返して歩き出そうとした。

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