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まこな★マギカ

第5章 第四ノ一章


いや、良くねえよ。結局、何だったんだよ、さっきのは……とつい先程までのまこなとのやり取りを思い出して、何が起こったのかを考えていると、突然、後ろの方から片言の日本語が聞こえてきた。

「ヘイ、ブラザー! ダイジョウブカ?」

俺達が二人そろってその声の方向に顔を向けると、そこには、ダボシャツとダボパンにに身をくるみ、頭にはベースボールキャップを斜めに被ったがたいのいい3人組の黒人の姿があった。 

その黒人の一人が「ドウシタンダヨ、ブラザー。コカインデモヤリスギマシタカ?」と言いながらこっちへ近づいて来た。

「え、なんで……」と又しても言葉を失う。

なんでこいつ等がここにいるんだよ。さっきまでいなかったろ、そう思って呆然としていると、ふいにカナメが声を上げた。

「オー、ブラザー。オーイエー、アーイエー。テンキューテンキュー。デモ、モウダイジョウブヨ! ホントニゼンゼンダイジョウブ! シンパイナッシングヨ!」カナメは右手でOKサインを作りながら、まるでゴミのような英語となぜか片言の日本語をミックスさせたもはやわけの分からない言葉をその黒人に向かって言ったのだ。

「お、おいカナメよ。それはあまりにもえげつないだろ……。あちらの人の方がよっぽど言葉としては成立してるぜ……」そう言って俺は三たび言葉を失う。

その黒人達は、普段、喫茶店の右隣の3件先にある地下のクラブらしき店に出入りしている。何をしているのかはもちろん知る由もないのだけれども――そう言えば、以前、カナメはそこに何回か行ったことがあると言っていた。けれどもそんなんで、コミュニケーションが取れてるのかどうかとても不安になった。

「オーライ。コカイン、スイスギヨクナイヨ」その黒人はそう言ったあとにくるりと向きを変えて、そのクラブらしき店の方に向かって歩いていった。

げ!? 通じたんかい!! 

相変わらず呆然としながら、その黒人達の後ろ姿を眺めていると「さ、ゆうきさん、立てますか?」左手で俺を支えながら、かなめが俺を立ち上がらせようとした。

「ああ、わりぃ。もう大丈夫だからよ」と言いながら俺はその場に立ち上がろうとした。すると、立ち上がったと思った途端、膝からガクッと崩れ落ちた。

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