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先輩!彼氏にしてください!

第1章 彼氏にしてください!




私たちの教室から出て奥の美術室。


一番近いからと言うことで、うちのクラスが掃除担当になっている訳だけど……。


3年になってからまだ私は美術室掃除担当になったことがないので、美術室に行くのはすごく久々だった。


一年生の時、授業で使って以来。


独特な匂いはきっと油絵具とか粘土とかの匂いなんだろう。


高い天井に、広いベランダ。


一年生の時はベランダに出て、スケッチとかさせられたっけ……


もうそれも2年も前のこと。


毎日がむしゃらに生きていたら、あっという間に3年生になっていた。


一人でそんな事をぼんやりと考えながら、箒を探して床を掃く。


夕陽がベランダから差し込んで床をオレンジに染める。


途端に何をやっているんだろう……って気持ちになった。


てか他の人は?


もしかして全員サボり?


イライラもするけどそれをなんとか鎮める。


まぁでもどうせ今日は何か用事がある訳じゃなかったんだし。


少し本を読む時間が減るくらいだろうし。


そう言い聞かせてもなんとなく虚しくて私は床を見る事をやめて不意に顔を上げた。



「──────────…」



目の前に、大きな大きな絵がそびえたっていて、私は思わず後退る。


こんな絵、私が一年生の時にもあっただろうか?


いや、あったら絶対に覚えている。


とにかく大きくて、色々な緑が混ざっていて……


抽象画なんだろうけどテーマは分からない。



分からないけど…落ち着いた色の中に凛々しさと情熱を感じさせる唸りがあって……


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