先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
翌日の放課後。
汗を拭いながら、ベニヤ板にペンキを塗っていると、葵ちゃんが「それにしても…」と呟いた。
「ほのか会長って本当モテますよねぇ〜」
「………いや、今そう見えてるだけだから」
「しかもイケメン2人に求められちゃって……本当羨ましいです」
イケメン2人……
まぁそうかもしれないけど……
「憧れるようなシチュエーションとは違うと思うんだけど…」
「えー? そうですかー?それはちょっと贅沢ですよー」
ふふふと笑う葵ちゃんに、私は目を細める。
本当他人事だと思って適当に……
「2人とも、もう少し私の事を考えてくれてもいいのに」
「………うーん、というと?」
「2人とも一方的に好きって言ってくるだけだし。特に谷川くん」
「あー……まぁ、でも谷川くんは、ほのか先輩のこと大好きだから。溢れ出ちゃうんじゃないですか?」
はあ……そうですか。
だからってみんなの前で叫ぶのはやめて欲しいんだけど。
好きである事を示すのって、何も『好き』って言うだけって訳じゃないと思うし。
「やっぱり、ほのか会長は、新先輩を選ぶんですか?」
「え、選ぶってそんな」
「前会長と現会長か…。なかなか強ーいカップルですね。お似合いだなぁ」
「…………新先輩は…何考えてるかわからないし」