先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
「わんわん声上げて泣いたりして」
「………あり得るね…」
「それか発狂して嫌だ嫌だと、叫びまくる、とか」
「…それも………ありそう…」
「『死ぬ!』とか叫んで屋上から飛び降りようとしたりしないといいですけど…」
「っ………………」
最悪だ……
知らぬ間に重すぎるものを背負わされている。
でも、冗談じゃなく本当にどれもありそう。
「──── 流石に死んだりはしないだろ」
「あ、新先輩っ……」
突然上から降ってきた言葉にびっくりして私はベニヤ板の上で膝をついたまま顔を上げると、新先輩もしゃがみ込んでニコリと微笑んだ。
「よっ!」
「……びっくりしたぁ」
「ごめんごめん」
そう言いながら新先輩は私の頭に手を伸ばすとそのまま優しくぽんぽんと頭を撫でる。
それを見ていた葵ちゃんが小声で「も、もえぇぇ!」と呟いているのが聞こえた。
「あれ? そんで今日はあいついないんだ?」
そう言いながら、生徒会室を見渡している新先輩はもちろん谷川くんのことを言っているんだろう。
たしかに、いつもならこの時間いるハズだけど、いない。
「おかしいですね〜。今日は星野先輩と平井くんは部活だけど、谷川くんは普通に来る曜日なんですけどね?」
葵ちゃんの言葉に、「ふーん」と返事をした新先輩は、そのまま葵ちゃんの方を向いた。