
仔犬のすてっぷ
第2章 出会い
「……そこ、テキトーに座って」
カウンターキッチンのカウンター台を挟んで、10畳のリビングがある。
このおかげで1LDKでも、狭く感じない。
カウンター台からは、ベランダに出られる窓が左寄りにあり、右側の壁側にテレビ、カウンターとテレビの中間にテーブルと座椅子、ローソファーが置いてある。
彼はローソファーによろけるようにどっかと座り込むと、ふう〜…と大きなため息をついた。
「待ってな。あと少しで、用意出来るからさ」
食器等はあらかじめ用意していたから、後はサッとウインナーとスクランブルエッグを皿によそえば食べられる。
「……さっきはスマン…。」
僕はこの時ガス台側を向いていたので彼の顔を見る事は出来なかったが、声だけでも反省していのは伝わって来ていた。
「・・・まあ、仕方無い。さっきのは一種の事故みたいなもんだろうし、さ」
初めて男に襲われるような、妙な体験だったが、少しだけ、襲われる女の子の気持が分かったような気がした。
(奈緒ちゃんと何かある時は気をつけないと……)
僕は一応気になっている女の子がいて。
街中で偶然、向こうから声をかけてきてくれて……
かれこれ3ヶ月くらい付き合っているが、手も繋いでない、清い関係ってやつだ。
……そういう意味では、ひとつ勉強になったのかもしれない……かな?
朝ご飯のオカズを盛り付けた中皿をテーブルに2つ置いて、ご飯とお味噌汁をよそう。
「ーーさぁ、食べようか」
