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仔犬のすてっぷ

第2章 出会い




「・・・ふはぁ〜…う、うまい…」

ずずっ!とひと口、赤出汁の味噌汁をすすった彼がぼそりと呟く。


「お腹がそんだけ減ってたら、何でも美味いだろうさ」

 まさか倒れるくらいまでお腹を空かせてるなんてねえ・・・ホント、呆れちゃうなぁ。


「いや……世辞ヌキで、美味いぜ?
俺、赤は特有の渋味が苦手だったんだが…コレにはそれが全く無え」

ふ〜ん……確かにそうならないように作ってんだけど……
少なくとも味音痴、とかでは無いみたい?


「そ?ありがと。ま、しっかり食べなよ」

そつない返事を返して、僕も食事をはじめようか……。



その後、朝の情報番組が流れるテレビをBGM代わりに、食事を進めた。

(…な、なんか…気まずい……)

…考えてみれば、相手の事は何も知らないし、そうなれば共通の話題なんてもっと探しにくい。

この、変な空気…目の前の、奴は何とも思わないんだろうか?

……そう思っていた時だった。




「……なあ、アンタ」

食後の温かいお茶を、二人で仲良くすすっていると、しばらく口を開かなかった彼が


「今、テレビに映ってる奴と、同類か?」

今、テレビに、映ってる?

・・・あ、愛名 春…オカマタレ…(汗)


……をい!(怒)


「……仮にそうだったら、キミは、そういう、人が、好みだって、言った、事に、なるんだ、けどもっ?」

こ、このバカ
言ってる意味、解ってんのかぁ?!
僕は口元だけ笑いながら、トゲトゲしく返事を返す。


「あ、い、いや、気に触ったんなら悪い。
けどよ、この人昔はホントに美人だったんだぜ?」

「その位は知ってるよ。けど、僕はそういうんじゃない。ちゃんと付くものは付いてるし、欲情するのは女性に、だ」


…何が言いたいんだ、コイツは?!



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