
仔犬のすてっぷ
第11章 最初の、すてっぷ
「おおっ?!こいつは……」
「え、う、うそぉ……(汗)」
トイレの隣りにあるはずの浴室はそこには無く、代わりにドアでは無くスライド式のガラス張りの扉があって。
扉を開くと・・・
小さいながらも、ちゃんとヒノキ風呂がそこにあり、プライベート感がしっかり醸し出されていた。
ヒュ〜〜♪
蒼空が、本日2回目の感嘆の口笛を鳴らした。
僕も、予想外でこれには驚いた。
ここ…セミスィートで露天風呂付だったなんて……ココ、本当に、5万で泊まれる部屋なのか??
もしくは謎深き “里美割り” が、もの凄く効いているのだろうか?(大汗)
「実のところ、俺も沢山の人混みの中で入浴すんのはあんまり好きじゃなくてさ。こりゃあ、有り難いぜぇ♫」
僕だって、そりゃあ出来ればやっぱり温泉は入りたいし、ソレが露天風呂なら、なおさらだ。
だけど、他人に見られたくないものがあって、なかなかそういう機会は無かったから・・・。
「これなら、優希だって露天を満喫出来るんじゃないか?」
うん。
……と、答えかけて、僕は慌てて首を横に振る。
いや、キミとも入るのも……NGなんですが。
「なんで、そんなに他人と入るのが嫌なんだ?」
両腕を組み、少しだけ考えた蒼空は、ぽん☆と手を叩くと
「優希……まさか、オマエ………」
