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仔犬のすてっぷ

第11章 最初の、すてっぷ


 僕の身体の力が抜けるのと同時に、蒼空の唇が離れていった。
唾液が糸を引き、微かに光る……。


「・・・少しは落ち着いたか?」

照明の所為なのか、蒼空の瞳が深い蒼色に見えて…僕は息を飲んだ。



・・・っていうか!
今。

き、き、き・・・
キス、された!!

それも、オトコに!!
同性に!

それもとびきりディープなやつを!



ああああぁ……



「はわわわわああぁ〜〜?!」

ボワン!と音を立てて顔が真っ赤になる。
何が起きたのか理解して、頭の中がグルングルン回る、まわる。


(馬鹿バカ!僕の馬鹿!なあんで、男にキスされたのに赤くなってんだあ?!)


「あれ?もしかして赤くなってんのか?」

口元を上げてニッと笑う蒼空を見て、さらに顔の温度が上がる。


なっちゃった。なっちゃったんだよ!
なんでだよ?!
普通、ここは『オエェ〜』とか言って気持ち悪がるトコだろおぉ?


「やっぱ可愛いわ、優希。そういうリアクション、悪くないぜ?」

ばっ…ばかあ!このタイミングで、そおんなこと言ったらさらに……
あかあかあくなってぇ〜〜。


「(クスッ☆)さ、風呂入ろーか?」

蒼空が僕の方へ手を差し伸べる。
僕はその手を、今度は払わずに……


おそるおそる、掴んだ。



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