
仔犬のすてっぷ
第11章 最初の、すてっぷ
かけ湯用の小さな手桶で頭からバシャバシャお湯を被り、蒼空はゆっくり湯船に浸かった。
「フッハァー!こりゃ、気持ちいいわ♫」
僕は・・・
露天風呂の入口で、蒼空のその様子を伺っている。
「……どうしたよ?遠慮せず、来いよぉ」
「な…なんにも、しない?」
僕はさっきのキスの影響で、今までとは違う事を恐れるようになっていた。
やっぱ、コイツはオオカミだよ。
「なんもしねえって(汗)
そんなトコでもらってきたばかりの仔犬のみたいに縮こまってないで、いいから、来いよ。
風呂、サイコーに気持ちいいぜ?」
「な…何にもしない……なら。
い、いってやっても……いい」
僕はおそるおそる、扉から風呂場へ入っていく。
「あのなぁ・・・今更、タオルで隠すのかよ(汗)
しかも、それじゃ女の子みたいで、かえって俺を刺激しちゃうだろーが……」
胸元からタオルを巻いて、僕はゆっくり露天風呂の浴槽に近づく。
「だ、だってさ…な、何か妙に……
は、恥ずかしくなっちゃって……さあ…」
「んな余計な事を考えてっから恥ずかしくなるんだよ。
男同士なんだからフルチンで来いって!」
そ、そんなに簡単には……
小5以来なんだ。裸を人前に出すのは。
僕は慣れてないんだから・・・。
「……やっぱり、ホントは女の・・・」
「そのネタは、下ネタへ移行するから止めとこうね」
下ネタ話しになったら、僕の身の危険が増しそうだし(大汗)
「優希の疵は、もう、さっき見て大体知ってるし、他に何を隠すってんだよ?」
……そりゃあ、やっぱり大事なトコロでしょうが(汗)
「小さいタオルならあるぞ?コッチ使いな」
差し出されたタオルを蒼空からしぶしぶ受け取ると、下半身に巻き付ける。
そして、腕に脚にとかけ湯していき、最後に頭から被る。
(・・・流石にこの状況で、いきなり襲ってくる事は無い……よね?)
僕は覚悟を決めて、湯船に足を入れた。
