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仔犬のすてっぷ

第13章 優希の傷痕





「こっ…この子、本当に耐え抜いちゃったよ?」


泣きながら身をよじり、うーうー唸るサチお姉ちゃんの横で、リカが驚きと感嘆の声を上げた。


ふーふー…は〜…ふ〜…はー…ふ〜ぅ…

 肩で大きく息をしてなんとか耐えきった事に安堵しながらも、コレがまだまだ続くのか?と思い……気が遠くなりかけている僕に、アケミが声をかけてきた。


「・・・大したもんだよ、優希……まあ、そこまで頑張れるなら、ご褒美だ」

 アケミは滑車のロックを解除して僕を降ろすと、首輪にリード線を取付けてから手足のロープを解いて


「このままちゃんと言うこと聞いてりゃ…そのうち良いことも待ってるさ」

 さるぐつわ代わりのタオルも外したアケミは、身体中に過度な力を入れた反動で麻痺して立てない僕の側まで来ると、


「そんな格好してるけど、アンタは今から犬になるんだ。四つん這いなら、上手く立てなくても問題は無いだろ?」

「い…犬?」

「まあ、分かりやすく言えば、優希は犬の役、私とアケミが、アンタのご主人様の役……ってコト」
「いや、リカはご主人じゃなくて、そのお客様ってところかな?」



・・・こ、この状況で、ゴッコ遊び???
…ま、まあ……これ以上状況が悪化したりしないなら……


「優希はもちろん、私の言うことをちゃんと聞く事。聞かない場合は幸にも焼印を……」

「……わ、分かったよ…言うこと聞くよ」
「タメ口もアウト。ちゃんと飼い主と犬の役なんだから、敬語を使いな?」
「……うん…いや、はい……で、いい…んです…か?」

「そうそう♪それでいい」

アケミとリカは二人して目を合わせると、ニヤリと笑った。



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