
仔犬のすてっぷ
第17章 予期せぬ来客
「・・・お客様。駄目だ。ルールは守ってもらおう」
僕の腕を掴んだお客様の腕を、ヒイ□・蒼空が優しくも力強く掴み、注意する。
「ひ、ヒイ□・・・くんだ♡
わあ、大きくて、あたたかな手♡♡」
ちょっと接客っぽくは無いけど、お客様の女の子がうっとりしているからまあ・・・良いの、かな?(汗)
なんか、お客様次第で匙加減を調整しなくちゃならないトコロは難しいなぁ。
「…さあ、ロラ○。今の内だ」
元々逆三角形気味の眼が、役に入っているせいでさらに鋭い物になっていて少し凄みが増している蒼空が“仕事”を促した。
「はっ…はい。ありがとうヒイ□君」
この機を逃さず、僕は奈緒ちゃんにウエルカムドリンクを差し出す。
「…おまたせしました、ナオお嬢様。ウエルカムドリンクです」
「あ、ありがとうロラ□君。あなた、本当にそっくりで…私、驚いちゃった♪」
両手を顔の前で組み、そのまま胸に当てた奈緒ちゃんは優しい笑顔で微笑みながら喜んでくれた。
(よ、良かった・・・バレて無い)
「私…■ンダムには疎くって……でも、貴方が出ているのと、砂漠の王子様とプリテンダーな目つきの悪い方と、あの赤服の方々ならなんとか分かります。来てみて良かった☆」
「ね?言った通りでしょ?ここのお店の方々はクオリティーがメッチャ高いって♬」
握られた腕にあるヒイ□・蒼空の手を握り返しながら、エミリお嬢様がテンション高めに奈緒ちゃんに話しかけた。
「でも、ホントは絵美里ちゃん・・・ディ●・マクスウェル押しなんでしょ?」
「ホントはね〜…私、奈緒には彼に会って欲しかったんだけど……ディ●君はレアキャラで、ここに来てもなかなか会えないのよ」
「……ディ●・マクスウェル君って、出張してるんだっけ?そんなにいつも居ないんですか?」
僕はちょっと気になってカ▼ル・カリームに聞いてみる。
「・・・彼は普段は別の人仕事しててね。空いている時に来てくれる特別店員なんだ。出張って事にはなっているけど、じつは・・・」
そこまでカリームが話しかけた時だった。
「わりぃわりぃ!遅れちまった★」
メッチャ分かりやすいお馴染みの声が天井から降ってきて・・・・・。
