
仔犬のすてっぷ
第17章 予期せぬ来客
「・・・みんな、お待たせ☆」
「奈緒ぉ〜、もう大丈夫?」
「気持ち悪くない?平気?」
「うん♪このと〜り☆」
奈緒ちゃんを友達と合流させて、一旦仕切り直しにしたところで、インターホンの呼び出しを受けた僕は、オーナーの居る3階の一番奥、エレベーターの横にある事務室へ向かった。
「・・・どうだった?優ちゃん。初のボーイズ・バーでの仕事は?楽しかったかしら?」
オーナー席らしい、少しだけつくりが違うソファーにゆったり座り、紅茶を飲みながら僕を迎えた歩美さんが、笑顔で聞いてくる。
「は、はい…初めての事ばかりで大変でした。正直、仕事……らしい事はあまり出来なかったんですが・・・」
「私も一応モニターしてたから、どんな感じだったかは把握してるわ。初めてにしては、良い感じだったと私は見てるけどね☆」
「オイオイ…あんまり褒めてその気にさせても、林原は渡さないからな?」
…さっきまでこの部屋には歩美さんしか居なかったはずなのに・・・いつの間にか現れたディオ・森川が、自分のティーカップに紅茶を注ぎながら歩美さんに話しかける。
「これはあくまで一時的な処置で、本業にさせるつもりは無いんだぞ?」
「分かってるわよぉ…んもぅ…折角褒めてるところだったのに、水なんか刺さないでよ」
ぷうっと膨れっ面して文句を返す歩美さんと、入れた紅茶を飲み一息つく森川店長(ディオ・森川)の二人。仲が悪いようにはどうしても見えないけど、聞くのはタブーらしいからなぁ…。
だけど、この二人の間柄もそうだけど、どうしても聞いてみたい事が1つあった。
「店長・・・いつからここのお手伝いしてたんですか?蒼空もビックリしてましたが・・・・・」
