
仔犬のすてっぷ
第17章 予期せぬ来客
不意に、部屋の中で呼び出しの電子音が響く。
「…はいはい☆どうしたの?」
『先程特別室に入られてたお客様が、お帰りになります。それから…』
「と、言うことは彼女がお帰りか……
林原、今日はもう上がっていいから、風海と一緒に彼女を送ってやるといい」
紅茶を飲み干したカップをテーブルに置き、店長は僕の方を見た。
「なかなか良い彼女じゃないか。大事にしてやれよ?」
「…あ、は、はい」
しかし……店長や蒼空には奈緒ちゃんの事がバレた上に、奈緒ちゃんにも蒼空の事が少しバレて・・・
僕、ココで働いて何気に損して無い??(汗)
「・・・なんですって?!」
……僕と店長の会話の向こうで、インターホン越しに店員と話していた歩美さんの声のトーンが、重く、ぴりっとしたものに突然変わった。
「・・・分かった。少しだけ待ってもらいなさい。それから、店内のCの子達には店内のお客様全員にお会計を進めるように。Bの子達にはパターンYを伝達して」
そう言ってインターホンを一旦切ってから、歩美さんは別のスイッチを押して、
「Aの子達は “Waltz” の準備をお願い」
それだけ謂うと、インターホンを切った。
「・・・ワルツ?!随分物々しい雰囲気だな…」
少し顔色が変わった店長に、歩美さんがこれまた真顔で答える。
「私の昔の "顔馴染” が、来店したらしいの。私に話をしに来たらしいわ……
用心するに越したことは無いから」
・・・・・なんだ?この雰囲気……。
なんだか、嫌な予感がする・・・・・・・・・。
