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仔犬のすてっぷ

第3章 風海 蒼空 (かざみ そら)


「ただい……まああ?!」


部屋に戻ると、そこには蒼空がいた。

半ケツで…トランクスを履いている途中だった。


「そんなトコで、なんてカッコしてんだよ?!」

「いや……パンツ洗って、乾燥かけて、今、履いて……」

「そ、じゃなくてっ!なんで中扉閉めないんだよっ!」

「いや、まさかこんなに早く優希が戻ってくるとは思わなかったからなあ」

はははっ☆と、トランクス半分履いた状態のまま……なんか知らんが爽やかに笑っているのを軽く蹴り飛ばし、中へ押し込むと中扉をバン!と閉める。



「…ってぇな!何す・・・」
「いいから早く服を着ろっ!」

なんだよまったくわけわからんやつだななんでだいたいはやくかえって………

 ぶつぶつ文句を言い続ける蒼空に、昨夜洗濯して乾いた彼の服を投げつける。



「うちの店長が近くまで来てる。僕は何にも話してないのに店長には何故かキミの事がばれてて僕はキミを拾い物でキミが………」


「優希、落ち着け。どうどう☆」
「僕は馬じゃないやい!!」

ぽんぽんと軽く頭を叩く蒼空に、僕はイラッとしてしまった。
思わず、せっかくシワ伸ばしして乾かした彼のワイシャツの衿元をぎゅっ!と掴み


「兎に角、僕もいつもと違うみたいだし、店長やお店のみんなもいつもと違う……
僕は、何をどうしたらいいのか……分かんないんだよっ!」



「な…なんか俺……浮気がバレて叱られてる奴になった気分だ……」

頭をポリポリ掻きながら照れる蒼空に、僕はさらに感情を煽られてしまった。

「ば、ばっ…バカな事言って……」



が、がしやゃああんっ!!


突然リビングの窓ガラスがけたたましく割れ、僕の言葉を遮った。
キラキラと硝子が飛び散って、光る…。



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