
仔犬のすてっぷ
第4章 攻防戦?!
「ちっ!」
蒼空は、硝子が飛び散った側へ
僕を玄関側へ体を入れ替えた。
「…ここまでやらせるとはあのくそマダム……請求書、増し増しにしてやっからな!」
割れた窓ガラスから、黒い手が何本も伸びて来て、カーテンを引きちぎりだす。
「あーっ!遮光カーテン!高かったのに〜!!」
「馬鹿か、そんなもん、気にしてる場合じゃ……」
ーー ガシャ、バリッ!ガンッ!
色々を壊す嫌な音が辺りに響く。
それから、黒い覆面の人間が二人……のそりと姿を現した。
そのうちの一人は、手に警棒らしきモノを持っていて……
ソイツと僕の目が合った。
…合って、しまった。
「お前等……人ん家入る時のマナーがなってないぜ?」
「ひとんちって、ココは、僕の家だ!」
ファイティングポーズを取り、間合いを取る蒼空の後ろで、彼の言葉を即否定する。
「・・・アンタ、言うねぇ……実は見た目に反してケンカ、強いとか?」
「話してないと、おかしくなっちゃいそうなだけ……来たぁ!!前っ!」
何も持ってない奴が、脇見中の蒼空との距離を急速に詰める。
「シッッ…」
蒼空の左拳が、見えない速度で相手に当たった。
一瞬、相手の動きが止まる。
(・・・蒼空…ボクシング、かじってるのかな?)
位置的なものもあるかもしれないが、僕の目では彼のパンチが全く見えない。
「シッ!シッッ!……ハアッ!」
がっ!がっ!…ドンッ!
速いジャブ2発から、蒼空の右拳が、相手の脇腹にたたきこまれた。
(……凄っ…)
僕が蒼空の動きに見とれていると
「女…これで殴られたく無ければコッチへ来い!」
反対側からは警棒男がジリジリ近付きながらコチラへ手を招く。
…このままじゃ、闘って無い僕を守りながらの蒼空が不利になる。
・・・な、何とかしなきゃ!
