
仔犬のすてっぷ
第4章 攻防戦?!
(・・・どうしよう……)
素手の男を押し気味の蒼空だけど、もし、僕が警棒男に捕まったりしたら……
刑事物や探偵ドラマなんかにあるシーン。
こんなふうに主人公がピンチになれば、相棒や仲間が駆けつけて、主人公を助けたりするんだけど……。
彼のピンチに駆けつけてくれる、仲間は恐らくは、いない。
じゃあ、相棒は……?
・・・現時点で考えられるのは
ぼ、僕しか……いない、よね?
だけど、僕の立ち位置……多分、ヒロイン側だし(汗)
……じゃあ、まずはソコから変えて。
それが変われば、流れが変わる……
と、信じたい。
「ぼっ…僕は、女じゃなあい!」
警棒男に、僕は全否定で啖呵を切った。
少しでも、相手が怯むように、大声で。
…だけど、相手は近寄るのを止めてはくれない。
代わりに…僕は、少しだけ落ち着けた。
大声を出した事で、緊張が少しだけほぐれたのかもしれない。
警棒男が、僕に向かって警棒を振りかぶる。
落ち着けたおかげで相手の動きが分かる。
ー ぶん!
今の一撃は、簡単に避けられた。
……子供の頃に、おじいちゃんに体術を習った記憶が蘇ってくる。
遊び半分だったけど、紐に吊るされたタイヤや、木の枝を器用に避けていたあの頃。
今の僕は大人になっているし、あれから訓練もしていないから、あの頃の様にはいかないだろうけど。
「……ちっ!てめっ!」
素手男の動きに気付いた蒼空が、牽制で左脚を右薙に蹴り、脚を飛ばした。
その勢いのまま左脚を軸にして体を回転させ、右足を警棒男へ豪快に振り下ろす。
ーー か、回転かかと落し?!
ドシン!と鈍い音がしたけど、警棒男はそれを警棒を持つ腕でしっかりガードした。
「…ちっ!」
蒼空の舌打ちが聞こえてくる。
今の感じ……かなり、会心の一撃だったのかもしれないけど、ソレが防がれたんだとしたら……。
・・・でも、警棒男の動きが止まって……
グラついているようにも見えた。
それを見るのと同時に、僕は警棒男の棒を持つ腕を左手でしっかり掴み……
