
仔犬のすてっぷ
第30章 共振
「……言っただろ?俺は長い話が苦手なんだよ。ツベコベ言ってる暇があったら、俺と戦え」
「…君ですか……若いだけあって血気盛んです…ねえ……って、ちょっ……と、人……のっ!!
話を聞きなさいっ!この阿呆猿があっ!!」
蒼空が繰り出すジャブとショートアッパーと下段ローキックとハイキックを何とか全部ギリギリで避けた霧夜は、ぜ〜ぜ〜と肩で息をして取り乱しながら蒼空に抗議した。
「……何でだよ?いいじゃん別に。ど〜せ長い話する気でいたんだろ?
言ったじゃん俺、長い話は嫌いだって。聞いて無かったか?」
………霧夜には悪いけど、僕も蒼空の意見に一票♡(笑)
「……こっ…これからがいいところなんじゃないですかっ!黙って人の話を聞きな・・・」
「嫌だ!(きっぱりっ!)」
「・・・何でですか?!いいから聞き・・・」
「嫌なもんは、嫌だ!(きっぱりっ!!)」
「…………だから、ね?私の…」
「絶対に、嫌だ!(びしいいぃっ!!!)」
「・・・クスン…
な、なんてやりにくい…いやだいやだこんなやつなんでこんなのがわたしのまえにいるんだだいたいわたしはこんなことしているばあいじゃないんですよわからないかなあこんにゃ………」
「セリフの練習でもしてるのか?棒読みになってんぞ?」
・・・どうやら意地の悪さだけで言えば霧夜よりも蒼空のほうが1枚上のようだ(苦笑)
「……ふっ・・・フフフフフッ……
貴様あっ!
…よくも、私を怒らせたな?良いだろう、たっぷりと後悔ぶしっ?!」
ーー ゴスンッ!
「……だから前置きが長すぎるんだってーのっ!」
わなわなと体を震わせながら怒りを溜めて、それから攻撃するぞと予告を出す…
なんて漫画や劇みたいな、自分主張なシーンを確保して自分こそが主人公だ!なんてアピールをしようとした霧夜の頭のてっぺんに、蒼空のかかと落としが見事に落ちた。
…馬鹿だねえ……(汗)
よりによって蒼空に説明を長々としようとするから…。
………霧夜には彼は天敵なのかもしれない(笑)
