
仔犬のすてっぷ
第33章 蜜の夜は・・・(性的表現あり〼)
こんな異常事態にもかかわらず、奈緒ちゃんは落ち着いて僕らの言うことを素直に聞いてくれた。
…いや、それはこの後解るんだけど、奈緒ちゃんには…まともに会話さえ出来ないほど、本当に余裕が無かっただけなんだって……。
奈緒ちゃんを車椅子に再び座らせて、脱衣所へ入った僕達が裸になっても奈緒ちゃんは俯いたまま何も言わない。
(…みんな裸になっちゃうけど…奈緒ちゃんは大丈夫なのかな?)
そのまま座っている彼女の服を、普通に脱がせようとした蒼空の手を、彼女はゆっくりと掴むとそう、小さくつぶやくように言った。
「……お願い……ゆっくり…ぬが…し…て」
「…あ、ああ。分かった」
胸元のボタンを外し、腕を服から抜こうとしたとき…「ふううっ!」と、強めの息を吐く彼女の反応を気にしなかった蒼空は、お構いなしにスルッとそのまま腕を引き抜いた。
「…あっ……」
小さな声で感嘆の声を出した彼女が、小さく小刻みに震える。
「・・・だ、大丈夫?奈緒ちゃん?」
「…うん……」
いつもの…僕の前では明るく元気な奈緒ちゃんの面影はそこには無く……ただ、何かに必死に耐えている様子の彼女が痛々しく思えてくる。
ゆっくり脱がせば時間がかかるし、かと言ってあまりに強引に脱がすと……
今の感じで苦しいのなら、控え目に、かつ手早くやるしかない。
「蒼空、僕も手伝う。介護で脱衣のやり方習ってるんなら僕にも教えて」
・・・これ以上、彼女に辛い思いはさせたくない。
なら、二人で脱衣させれば…もっと摩擦は軽減できるはずじゃないか?
「・・・・・ああ。優希、分かった。頼むぜ」
なるべく服が肌を擦ったりしないように、僕が服を広げ、蒼空が脱がす。
そうしてなんとか下着姿にまで脱がす事が出来たのだけど……。
「一旦このまま洗い場に移動するぞ」
蒼空が車椅子を押して…蒼空と奈緒ちゃんは浴場へ向かい、僕もそれに続く。
